こんにちは。ポップジャパンの石川です。
現在は早朝5時前。ようやく夜が明けてきました。
今回ののぼりラボは『広島市中央卸売市場(ひろしましちゅうおうおろしうりいちば)』で水産物の卸売業をされている『広島水産株式会社(ひろしますいさんかぶしきがいしゃ)』にお邪魔しました。
早朝のまだ世の人々が眠っている時間こそが、市場の営業時間。
市場で働く多くの人たちによって、届いたばかりの品物が次々と並んでいきます。
そして『競り』によって値が付き、そしてまた運ばれていく。
見ているだけでも慌ただしい光景で、活気があります。
広島でも普段の生活ではなかなか目にできない早朝の賑わいは独特のライブ感がありました。
現在、建て替えが予定されている『広島市中央卸売市場』は広島の台所を支える場所。
広島における「これからの市場の在り方」。
市場から発信される新たな『広島ブランド』について。
そして、『それらを盛り上げる販促アイテムの活かし方』について、営業推進室課長の『坂東豊(ばんどうゆたか)さま』にお話を聞きました。
広島の市場として建て替え後に残したい『魅力』。
以前、市場の中で外部の人が利用できる『関連棟(かんれんとう)』の取材をさせていただいたことがあります。その時に「市場って自由に出入りできるんだ」ということ自体、あまり広島でも知られてないことに気づきました。今回は「そもそも広島市中央卸売市場ってどんなところ?」といった部分からお聞きしたいです
市場では年に一回『市場祭り』をやっていて広島のみなさまを含めて一般開放しています。普段見慣れない市場に触れていただく機会ですね。以前はワンコインでお寿司が食べられる食堂が人気でした。マスコミの方にもよく来ていただいていましたが、最近は(笑)
ワンコインでお寿司って市場っぽいですね。しかし、無くなったとは…残念です
全体的にお店の数が減ってしまって、外部へ魅力を発信することも難しくなりました。ですが、市場に入ってすぐの所にコンビニがあるのですが、見ました?
見ました…と言うか、以前に市場の関連棟を取材した時、そのコンビニでアイスを買って写真まで撮りました
あそこって日本初の『市場の中のコンビニ』らしいですよ
え?日本初!?それは初耳です
今だと、市場の中のコンビニって珍しく無いかも知れません。でも売上は全国的に見てトップレベルだそうです
売上が全国的にトップレベルなのだとか・・・
そう言えば以前、関連棟にある保育園について取材させていただきましたが、そちらも日本初の『市場の中の保育園』でした。広島の市場って、実はかなり先進的な市場なのでは?
言われてみると確かに。どちらも元々は市場の人達のために設置した施設ですが、外部の人の利用も増えています。『そんな市場の特性を活かしてインバウンドも呼び込めたら』なんて話も確かにありますね
時代の流れと共に、市場のカタチも変化する必要がありそうですね。そういった計画に、広島水産としての意見や要望はどこまで反映されるのでしょうか?
まずは市場の全体で意見をまとめる必要があります。この市場では鮮魚、野菜、『花き』を扱っています。そして外部ですが市場の直ぐそばで食肉を扱っています。全国的にもこれだけ集まっている市場は珍しいです。敷地面積も中国地区で3番目の広さ。個人的には「このロケーションを活かしたい!」という想いがあります
取材当日は雨でしたが、晴れていれば多島美が楽しめるロケーション!
晴れていたら本当に綺麗でしょうね!完璧なオーシャンビュー!!
広島だけでなく、市場のからの眺めとして日本一でしょう。夏の晴れた日なんて、ここでビアガーデンができたら最高だと思いませんか(笑)
ちょっと待って下さい!なんですかそれ!?!そんなのもう、最高に決まってるじゃないですか!
今でも天気の日には釣りをしに来るお客様もいらっしゃいます。市場を含め、広島周辺エリア全体で活性化する方法もありそうです。建て替えが良いきっかけになればいいですね
市場で知る広島生まれ、広島育ちの新たなブランド『広島サーモン』
広島水産の事業の内容について詳しくお聞かせ下さい
主には水産物の販売です。その他には、広島県の応援登録制度である『広島サーモン』を扱っています。『広島サーモン』の振興協議会で法被(はっぴ)やミニのぼり、ポスターなどの『販促物』を作り配っています
実際に見せて頂いた販促物の数々、ミニのぼりに法被
ポスターとか
目が釘付けに・・・
市場として販促物の展開が幅広いですね。
他にも、広島で食育活動として学校で料理教室もやっていますし、量販店でイベントをしたりしています。市場の祭りでは法被を着たりして啓蒙活動をしています
それにしても広島でサーモンが育つとは驚きです。広島ブランドとして成立させる秘密があるのでしょうか?
広島の廿日市市に「万古渓(ばんこけい)」というニジマスやアマゴを養殖して販売をする業者があります。そこで2年間かけて稚魚を育成。育った稚魚を今度は大崎上島の海で養殖をします。サーモンの稚魚が海に出ると新陳代謝が良くなって、一気に餌食いが活発になって大きくなります。2年間かけて150~200gになった稚魚を海に入れると、半年で5倍から6倍になりますよ
半年で1kgとか1.2kgということですよね。凄いな…
そこまで大きくしたものを販売しています。取り組みは2014年からスタートして、1年目は試験的でしたけど、2015年から本格的に取り組んで今年で3年目ですね。今は国内でもサーモンの養殖は活発化しています
広島サーモンは、いわゆる一般的なスーパーでも購入できるのですか?
養殖の技術は確立されていますが、生産コストの面で価格的に課題が残りますね。どちらかと言うと業務筋関係向けです
広島水産は『広島サーモン』振興協議会として参画されているのですね
窓口となって販売権を持っています。市場の水槽でストックし、朝〆(シメ)して出荷するという、市場スタイルを実現しています。養殖業者さんは作る・育てることに専念してもらい、そして広島水産が市場の流れを使って出荷しています
3社による分業と協力。そこが他のブランドと差別化するポイントなのでしょうか?
そうですね。業者さんとのタイアップ体制。そして、川と海がバランス良く近い範囲にあった地の利によって実現しました。
広島の市場をもっと身近な存在に
広島水産が思い描く「今後の広島市中央卸売市場の姿」への展望や希望はありますか?
市場って、昔は荷物がどんどん来て、それを流すという場所が市場でした。しかし、世の中が変わり、場外の荷引きや地域間の競争もあります。市場というものは全国的に縮小傾向。売り場の活用として今取り上げられていることは、市場開放ですね。一部を規制緩和してレジャーまでではないにしても、そういったニーズがあるのかなと思います
宮島や平和公園も比較的近いことから、広島市外・県外、そしてインバウンドという海外からのお客様も狙い所として市場としては考えられますか?
そうですね。市場というとやはり『築地市場』のようなイメージで『非日常的な体験』として、触れ合いながら飲食したり、買い物をしたりできるトコロも、市場の在り方というか『活用の仕方』なのかなと思います
市場本来の機能は『生産者と事業者との接点』だと思いますが、そこに一般市民との接点も追わり、より身近な存在になるということですね
市場の機能自体も理解していただきながら、生鮮品がどこから来て、どのように流通し、みなさまの食卓に届いているのかということも知っていただく場所に市場がなればいいですね
学習の場としての価値もありそうですね
色々な活用の仕方はあると思います。食育や修学旅行のコースなどのパッケージプランの一部として宮島、平和公園、広島市中央卸売市場といったようにして、魚に触れる野菜に触れる、『バーチャル競り』などのような体験型としても面白いですね
実際の「競り」が行われている様子
体験と観光ですね。行政としても瀬戸内一帯を包括した観光パッケージに力を入れていますし、その中に市場体験が入ることは大きな意味がありそうです
実は、STU48と絡むのもいいなぁなんて思うんですよね(笑)
なるほど!市場にはステージを組めそうな広さもありますし!
余談ですが、広島の七大海の幸ってご存知ですか?現在、広島市で掲げて広めようとピックアップしている水産物でして、先日、広島市、呉市、廿日市市、大竹市、江田島など、周辺の市町村を含めて協議会が始まったのですが
いえ、初耳です。七大…恥ずかしながら牡蠣と穴子くらいしか思いつきませんが、具体的には他にどのようなものがあるのでしょうか?
小イワシ、黒鯛、アサリ、オコゼ、メバル、そして穴子と牡蠣ですね。これを広島市の方で掲げています。アピールの材料や仕掛けは欲しがっていると思います。ビジネスチャンスじゃないですか?(笑)
なんと!願ってもない情報をありがとうございます!早速、持ち帰らねば…
そういった販促などは、ウチや市場では出来ないことですから。こういった機会ですから、また何か取り組めるものがあれば色々とお願いしたいなとも思います。私達は売りたいモノがあり、市は発信したいことがある。タイアップしていくというカタチは、これからも増えるでしょう。これも一つのご縁ですからね
ポップジャパンの会社案内にも『すべてとツナガル素敵な仕事』というフレーズが書かれています。まさにそこに尽きることを教えていただきました。本日は本当に有難うございました
5年計画で進行するという「広島市中央卸売市場」の建て替え計画。
広島の台所を支える施設として、より身近に感じてもらえる存在になればと坂東さんは語り、市場を盛り上げる集客のための仕掛けについても様々なアイディアをお持ちでした。
プロジェクションマッピングとかにも興味があります。水族館とは違う、市場だからこその海の中を思わせるような演出があったらいいですね
いいですね。市場だからできる演出っておもしろそう
そこに青果や花など、市場全体の要素をうまく組み合わせたら面白いですよね。今後市場が集客できる施設になった時でも、例えば土日限定でプロジェクションマッピングのイベントをしたら良いかもしれません。もっと言うとVRを導入するのもアリじゃないかな
「市場全体を取り込むような集客の提案はありませんか?」と、逆に私達に尋ねられるほど、熱心に取り組まれている様子。
ポップジャパンはのぼり旗がメイン商材の広島のメーカーですが、単純に「市場祭り」なんてのぼり旗を立ててればいいワケではありません。
イベントの意味や内容と連動によって、人目を集めてイベントや映像演出への期待感を創出する効果を盛り込むことが大切。
さらには、もう一歩二歩先の集客を考えてこそ価値が生まれます。
プロジェクションマッピングという仕掛けも、2000台収容できる市場の広大な駐車場がアドバンテージになります。
映像を鑑賞するだけでなく、市場の機能と連動した体験につながる施策を考えてもおもしろそうです。
これから新たな一歩とその先へ広がる未来に向けて動き出している『広島市中央卸売市場』の『広島水産』で、私達も新たなヒントをいただきました。
ご協力いただきありがとうございました。
取材協力:広島水産株式会社
所在地:広島市西区草津港1丁目8番1号
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