こんにちは。ポップジャパンの石川です。
今回ののぼりラボは、株式会社広島経済研究所に取材でお邪魔しました。
こちら広島経済研究所は、約70年前から広島の経済界の情報を発信する「広島経済レポート」という冊子を毎週発行されていて、経営者を中心に多くの人に読まれています。
70年近い歴史の中で構築された独自の取材ネットワークによって、広島を中心とした地域の中小企業も含めた様々な企業の情報が掲載されていて、石川もよく読んでいます。
今回、普段は色々な企業を取材している立場の広島経済研究所の島津貴幸(しまづたかゆき)さんに、逆に取材をお願いしました。
歴史ある会社の中で、新しい風を起こす島津さんの活躍についてお話いただきました。
ひろしま企業図鑑サイトでポップジャパンが1位!?
「本日はお時間をいただきありがとうございます。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。ところで、突然なんですが、こちらを見てもらえますか?」
「え?なんですか?」
「これは当社が運営している『ひろしま企業図鑑』というWEBサイトなんですが、閲覧数ランキングでポップジャパンさんが1位なんです」
「ホントだ!すごい!なんか、ありがとうございます!」
「去年の8月の6日にサイトを開設しまして、色々な企業の紹介情報を掲載しているのですが、ポップジャパンさんを紹介したページのアクセス数が今のところ、1位なんですよね」
「本当に光栄です。やはり弊社の社長で遊んでいただいた企画が効いているのでしょうか?」
「そうですね。“イキった”社長をイジる企画(※人柄を紹介する企画)『イキり刑事』の影響もあるだろうと感じています」
「結構遊んでもらえたので、その効果が出てるのは嬉しいですね」
「御社がこの1、2年で変化されてこられたからこそ実現できた企画だと思います」
「確かに、ポップジャパンも変化を試みているところですが、島津さんは以前からポップジャパンのことはご存知だったのですか?」
「そうですね。私が担当になって3年くらいになりますね」
「イキり企画もですが、ポップジャパンを素材に色々と扱っていただいて、本当にありがたいです」
「いえいえ。でもポップジャパンさんは新しい取り組みがあったので、話題に事欠かなくて僕たちもありがたかいです」
「そうですね。良くも悪くもいろいろとやらせていただいております(笑)」
「やっぱり話題がある方が取り上げやすいですからね」
「それは間違いないと思います。ぜひぜひ今後もよろしくお願いいたします」
そもそも広島経済レポートってなんなの?
「ところで島津さん、基本的なことをお伺いしてもいいですか?」
「はい、ぜひどうぞ」
「そもそも広島経済レポートって何ですか?」
「え?『何ですか?』って、なんですか?」
「いや、ズバリ、基本の基本からお聞かせいただけたらなと」
「なるほど。分かりました。当社は約70年前に創業しました。もともと商工会議所の役員だった創業者が『戦後の広島に経済情報を発信する場が無い』ということで立ち上げた冊子が広島経済レポートの始まりです」
「70年前というと、本当に戦後すぐというタイミングですね」
「そこから年月を経て、今では会社全体で延べ年間4,000から5,000社の取材をさせていただいています。広島の企業情報を中心に掲載して、主には経営者の皆様に読んでいただいている冊子になります。実際に広島経済レポートからヒントを得て、新しいビジネスにつながったなんて話もあって、お役立ていただいています」
「たしかにポップジャパンの話題を取り上げていただいた時には、いろいろなところから『見たよ』って連絡がいただけます。そんな時に『いろんな人に読まれてるんだなぁ』って感じます」
「他にも通常の記事に加えて、中小企業の決算情報も出しています。こういった情報は他では手に入らないので重宝いただいていますね」
「常に密度の高い情報が掲載されていますが、その情報は、やはり独自の取材ネットワークで収集されているのでしょうか?」
「そうですね。やはり70年近く活動していますので、ネットワークは広島でもかなり大きいのではと自負しています」
歴史の上に新風を巻き起こす動き。
「長い歴史を持つ広島経済研究所と聞きました。そんな中で、島津さんはどのような活動をされているのですか?」
「私が入社したのは2010年ですが、それまでは海外で働いていました。その経験も活かしながら、今は新事業担当としていろいろと新しい取り組みに関わっています。」
「海外でお仕事をされていた経験を活かすというのは、すごいですね!どのような活動をされていたのですか?」
「アメリカの大学を卒業した後、現地のコミュニティー誌で記者の仕事をしていました。新しいことに飛び込むのが好きなので、その点も考慮いただいて今は新事業を担当しています」
「なるほど。具体的な活動をお聞かせいただけますか?」
「入社してすぐの頃に、若手メンバーが中心になって『ひろしま業界地図』という書籍を作りました。私が入社して2年目くらいの時ですね。『作ろう!』という声があがって、そこから最初2年はこちらの制作をやらせてもらいました」
「こちらの本は僕もみたことがあります。島津さんはどのように参加していたのでしょうか?」
「紙面のレイアウトやデザインですね。これが出来たときには結構お問い合わせをいただきました。これまでは、地元企業のグループ関係などを図式化したものが無かったので、『すごく見やすい』と評価をいただいています。これがいわゆる『新しいこと』のスタートでしたね。その後の新しい動きというと、中小企業の合同運動会があります」
「あ、ポップジャパンも参加しています。あの運動会の発起人だったんですね」
「ご協力いただいてありがとうございます。ご迷惑になっていなければいいのですが(笑)」
「前回はぶっちぎりで優勝させてもらいました」
「運動会も最初は当社が事務局をしていましたが、現在は、全国健康保険協会(協会けんぽ)広島支部にお願いしています。そのような新規事業を続けてきた流れで、今回『ひろしま企業図鑑』というサイトを本と連動させるカタチで作りました。業界地図や企業図鑑は当社のネットワークがあったからこそできたものです」
「まさに新風を巻き起こしてる感じがビュンビュンします」
「さらに、サイトをスタートさせたことで採用支援をやらせていただいたり、学生インタビューという企画も当社でやっています。広島県内の学生たちを巻き込んで広島の経営者のところに取材したりと、今でもいろいろと新しいことを続けています」
「僕も広島経済レポートはいつも読ませていただいているのですが、お話を聞くまで『広島の経済状況が載ってる冊子』くらいの認識でした。しかし、まだまだ新しい企画を展開されているとお聞きして、驚いています」
「学生さんたちが『大手志向』と言われている中で、いかに広島の企業、中小企業に注目を集めるか、そしてそこで働く『やり甲斐』が見えるようにしたいと思っています」
「広島にもおもしろい会社っていっぱいありますからね」
「あとは転職者の方にも見ていただきたいですね。東京や大阪に就職された方でもWEBサイトだったら情報が見えるので、離れた土地の人に『広島にこんな企業があるんだ』と感じてもらって、UターンやIターンの材料になったら嬉しいです」
学生だからこそ聞き出せることも!?学生インタビューに注目。
「広島経済研究所も、発行されている広島経済レポートも歴史の長いものだと聞きました。そこで『新しい風』を起こそうとするのって、ご苦労もあったのではないですか?」
「やっぱり最初は大変でした。運動会も『なんで運動会?』ってなりましたし(笑)」
「冷静に考えたらそうですよね(笑)」
「だけど、若手のメンバーをはじめ、支えてくれる人たちも居ましたし、時期的に社内で世代交代というタイミングもあって、ベテラン記者との連携も上手くできていました。やっぱり信用が無いと応援もしてもらえませんから、最初3年は購読部数を伸ばすことを頑張って、社内の信頼を築くことで、環境ができてきたのかなと思います」
「実は僕も『ひろしま業界地図』が大好きで、どの会社がどのグループで、どんな関係性があってといったものが、『見える化』されてますよね。普通に分かりやすいです。自分と関わりが薄い分野でもずっと見ていられます」
「イメージは中学生のときの資料集です。ペラペラっとずっと見ていられるというのも狙ってるんです」
「広島経済研究所、あるいは広島経済レポートから『次はこんなことするぞ!』みたいな、新しい風の動きってなにかありますか?」
「今、学生インタビューというものをやっているんですが、これを部活にしようと思っています」
「部活ですか!?」
「言ってみればサークルですね。学生に部長になってもらって、自分たちで企画して取材に行くというカタチです。これは今私が担当しているので、私が企画したら動くという状態なのですが、毎月1回くらい10人とか20人程度が集まって、一緒に『どんな取材をしようか』と考えたり映像のサポートもあったり、あとは『イキり企画』で学生がブっ込むなんてのもいいかなって考えています」
「いいですね。学生がイキるっておもしろそう!」
「そういう企画をカリキュラムではないにせよ、一つのカタチにして継続的に動いていけるような、それも一つの大学ではなくて、各大学のアナウンス部とか新聞部みたいな活動を横断的にできればと考えています。県内すべての大学で興味を持ってくれる学生ならだれでも参加できる場をつくりたいです」
「様々な学生がたくさん集まる企画というのは魅力的ですね」
「その中で『100人の大人に会いに行く』なんて企画などで、自分の視点を養ってもらいたいです。このサイトのコンセプトが『優良企業が見つかるサイト』なのですが、優良企業と言っても色々な視点がありますよね。例えば『誰かにとってはマッチしない企業でも、他の人だと働きまくれる会社』だとか、価値観ってそれぞれだと思いますが、それを自分の視点で探すことができるというのがポイントです」
「自分の働きたいスタイルに合っているかというのは重要なポイントですね」
「少しずつサイトを改善しながら、例えば『安定志向』な人であれば、「老舗企業」について見てもらったりですね。『バブル崩壊もリーマンショックも乗り越えて堅実に業績を重ねている企業なんだな』というのが分かります。ベンチャー志向なら「急成長中」を見てもらったりですね。見せ方としては、もう少し改善したいと思っていますけど」
「一口に『学生』と言っても、それぞれ企業を見る目も当然違っていますから、そこで『誰が見ても自分に合った企業が見つかるサイト』というのは魅力的ですね」
「実は、裏コンセプトもあって、この『学生インタビュー』に参加してくれている学生ってワリと就職に向けた意識が高くて積極的なんです。なので企業様には『意識を持っている学生が集まってるよ』とアピールしたいんです」
「なるほど、学生が見ていても得るものがあるし、企業が見ても求人活動のヒントになるサイトということなんですね」
「学生自体がさらに情報を大学で発信してくれることで、学内に広がっていくと思います」
「様々なコンセプトや意思が上手く回転しているサイトですね。よく出来てるなぁ」
「まだまだこれからですよ」
「冊子の方でも学生インタビューは何回か掲載されていましたよね?」
「今まで11回やっています。これはこれで大変なんですけどね(笑)」
「あ、やっぱり苦労されているんですね(笑)」
「学生を一度集めてテーマを設定して、インタビューの仕方を教えて、話を聞く心構えや、話の引き出し方の練習などをしながら当日を迎えて、当日ヒアリングさせていただいた内容を記事にまとめるというところまでするのですが、この『記事にまとめる』というのも大変ですね」
「痛いほど分かります」
「やっぱり、なかなか上手くまとまらないこともあります。そこの指導をしながら、最終的には当社で少し手直しを入れるなんてこともありますね。あくまで学生の視点を大事にしながらですが」
「やっぱり、学生ならではの視点によって、我々も新たな発見がありそうですね」
「そうですね」
「これは想像なのですが、現場ではハラハラすることも多いのではないでしょうか?」
「なくも無いですが、でも経営者の方も相手が学生ということも考慮してくださって、より分かりやすい説明をしてくださいます。話も丁寧で、記者が聞いても引き出せなかった話を学生相手なら出てくるなんてこともあるので、それは『いいなぁ』って思いますね。ゆくゆくはもっと砕けた感じにしていきたいんですけど」
「学生だからこその、ギリギリなラインを突いた取材をしてもらいたいですね」
「今は学生だけの企画ですけど、将来的には転職者だとか県外からUターンされる方なども見据えて広げていきたいと考えています。今のサイトは求人情報を扱っているのではなく、ニュースサイト性が強いので、ニュースサイトを見ながら『優良企業』を見つけていただきエントリーしてもらえるような流れで、採用につなげられたらいいですね」
まだまだ風は吹いている!広島の経済界を盛り上げる秘策。
「これから、こんな風に発展させていきたいといった展望はありますか?」
「これからも新しいことにどんどん挑戦していきたいですね。それによって広島の経済界が今よりももっと元気になればいいなって思います。中小企業様が自社の魅力をもっと上手く発信できるお手伝いができたらいいですね」
「正に広島経済研究所様の事業の本質みたいな感じがしますね」
「記者という仕事は『強みを引き出す』という仕事もあると思っています。その引き出した強みをどう編集するかというのが大事。今回新しい取り組みで紙媒体では表現できなかった部分をWEB媒体で表現できました。動画であったりとか、イラストのつなぎ合わせですね。文章の表現とイラスト、動画という感じで編集手法も色々です」
「媒体の特性を活かしたおもしろい企画がたくさん出てきそうですね」
「イベントの例で言うと、広島県とトークイベントも企画し、前にはボトムアップ理論とトップダウン理論を討論させるようなイベントも行いました」
「これは、スリリングですね」
「そんなイベントを通して、現場の臨場感や動画による発信、テキスト表現など、色々な手法を使って中小企業様の魅力を発信していきたいですね」
「本日は、ありがとうございました」
終わりに
これまで新しい企画を数多く実現されてきた島津さんですが、まだまだその手を緩めることはなく、どんどんと新しいことにチャレンジされています。
求人活動が困難になってきている昨今、学生から積極的に企業へ話を聞きに行くというスタイルも斬新で、企業と学生がお互いにとって得るものや考えが広がることも多いことでしょう。
冊子やWEBサイトの他にも様々な媒体で広島の経済情報を独自の切り口で発信する広島経済研究所から目が離せません。
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