悪用厳禁! 読書感想文を攻略する

こんにちは、ポップジャパンPRチームの酒井です。

今日から7月ですね。

7月って言葉を聞くだけでも汗をかきそうですね。

さて、7月、そしてといえば子どもたちが楽しみにしている夏休み

その名の響きだけで、山野を駆け巡った少年の日の思い出が脳内で木霊します。

しかしながら夏休みは楽しい半面、宿題が大変でしたよね。

私は最終日に全てを終わらせるタイプでしたが皆さんはいかがでしたか?

本日はそんな夏休みの宿題で特に苦手な人が多い読書感想文の攻略をしていきます。

 

私は幼い頃から嘘つきだったので読書感想文は特に苦にしてきた記憶はないのですが、根が真面目で心優しい学友たちはその真面目さゆえに頭を抱えていたのを思い出します。

全国の心優しい子どもたちもまた同じ思いをしているんじゃないでしょうか。

でも大丈夫!

私が怒られない程度の読書感想文の書き方のコツをお教えします!

なお、この技を使うと成績は恐らく下がるので使わないほうがいいです。

そして何らかの賞には応募しないように!

ご迷惑をおかけしないように気を付けてください!

 

【悪用厳禁】読書感想文の書き方

嘘を書こう

嘘といってもあれですよ。

読んだ感想で嘘を書こうとかいう小さい話じゃないですよ。

本自体を創作しましょう。

貴方にとって都合のいい本を想像上で生み出してしまおうという話です。

大丈夫! 先生はどうせ調べやしないよ!

 

成長(したふりを)しよう

大人は子どもの成長を望んでいます。

それ故に、文章を読んだうえで何かしら感じるところがあって己を省みるような子どもの純粋さを見ることで悦に入るという特性があるんです。

出来る限り、読む前の“私”を卑下しましょう!

 

ツッコまれづらい描写をたくさん入れちゃおう

心象を描写としてたくさん入れましょう!

感想文ですから自分が感じたこと思ったことを入れるのは全然OK!

たとえ、それが嘘だとしても先生には入り込めない聖域なので自分自身でガンガン踏み荒らしましょう!

読み終えた後、少し胸が痛くなった。 とか書きましょう!

 

ちょっとウザい書き出しを目指そう

読む側がなんとなくイラっとする書き出しからスタートして、読む側の認知をかく乱しましょう!

上手くいけば記憶に残るのは書き出しだけ!

書き出しが決まれば後は雰囲気で押し通せる!

 

文章にしきれない感じを出そう

言葉にするとチープになってしまうそんな感傷が大人は好物です

子どもが読書体験を経て、語彙の中で表現しきれない感情になったということだけで大人は大喜びです。

諸手を挙げて走り出します。

つまるところどういうこと? という感情を抱かせたらこっちのもんですわな。

 

実践編

それでは以上の内容を踏まえて実際に私が1600文字程度の感想文を書いてみます!!

今回、私が勝手に創作した本のタイトルは、『遠回りした金魚

適当ですが書名にもコツがあります。

金魚とか生き物の名前を入れておくと、万が一書名を検索された際の検索結果がノイズに塗れるのでオススメです。

 

 

遠回りした金魚を読んで

ポップジャパン小学校1年2組 酒井

夏休みは怠惰の限りを尽くそうと画策していたが、夏休み明けの補習などに時間を奪われるほど人生も青春も長くないので大人しく読書感想文に取り組むこととした。

課題図書から本を選ぶというのも面白みがないので、家の本棚から一番綺麗な表紙の本を選んで感想を書いてみる。

選んだ本は『遠回りした金魚』

表紙は曙色に染まった空とそれが反射する海、逆光で黒々と写る山並の写真からデザインされており、本文の美しさを期待させると共に、金魚というタイトルとの乖離が気になった。

ストーリーとしては家族仲がギクシャクしている主人公が田舎の祖父母宅を訪ね、自身と父親の出自を辿り、アイデンティティを確立し、社会や家族と折り合いをつけていくという物語だった。

作中で主人公は時折、その振る舞いを金魚になぞらえられることがあり、読み進めていく中で判明するのだがタイトルの金魚は主人公のことを指している。

そして遠回りとは彼が抱える問題の解決に向けてのフローを表現していたのだ。

この作品を読んで、私は作者には作品を通して伝えたいテーマがあったと推測する。

それは、家族であっても結局は他人であるということだ。

つまり、家族であろうとも心の内を完全に理解することはできないし、理解されることもないという諦めについて描いているのではないかということである。

作中の主人公は多感な時期という事もあり、家族に対して分かってもらえないことや自分を認めてもらえないことについて不満を抱いている。

そのことに対して、作中の結末は結局のところ主人公の自己解決であった。

作中では他のキャラクターが主人公のナイーブになっているメンタルに必要以上に踏み込むことはないが、代わりに問題解決をすることも主人公を導くこともなかった。

あくまで、主人公自身の溜飲が下がった、つまり他者への過度な期待を諦めたというだけの話である。

しかし、作者の描き方としてのこの諦めは、同時に誰かを許すことを描きたかったのではないだろうか。

社会で生きるという事は、家族を含む誰かと何かしらの関わりを持つという事であり、それが時に摩擦を起こしてしまう、であるならば他者への過度な期待を諦め、摩擦を許すことが優れた関わり方なんじゃないかという作者なりの生き方を作品に映しているのではないかと私は推測したということだ。

だが、そんなテーマを他者に発信したい、共感されたいという作者の他者に対する期待がこのテーマと矛盾しており、作者の中で自己矛盾が生じているのではないかとも予想できる。

そのように考えてみると、表紙の写真にも納得がいく。

空と海と山、決して交わらないものが一枚の写真の中で共生している、それはつまり我々の社会を比喩しているのだろう。

それらが写真の中で景色として溶けあう様子から推測するに、本当は誰かを理解したいし、理解されたいと作者は思っているのではないだろうか。

その矛盾こそが作品に奥行きを与えるものであり、“私”という生き方の多様性を我々は自身で追っていかなければならないのだと考えさせられた。

以上のことから、作者と作品のテーマの差異、その間にこそ、この作品の魅力が生じているのではないだろうか。

物語はカタルシスを得ることが出来る結末であったかというと必ずしもそうではなかったが、他の娯楽小説以上に現実と重ねてみて納得が出来る結末だった。

夏休みの宿題で思わぬ良い作品に出合えたので先生には感謝をしようと思う。

毎月2の付く日に。

しかし、これほどの作品を書いたのがまさか天才チンパンジーのユメちゃんだとは私もあとがきを読むまで分からなかった。

チンパンジーには無限の可能性がある。

そして、その可能性は私にも。

 

オリジナルチンパンジー川柳

鎮魂に パンジー添える 墓参り

 

捕まえてみろ。

 

まとめ

いかがでしょうか。

遠回りした金魚(とおきん)なんて存在しません。

とおきんなんて略称も勿論存在しません。

どうにかなりそうな気がするでしょ?

私はこれで学生時代を乗り切りました。

存在しないことがバレて反省文を書かされたこともあります。

皆はちゃんと本を読んで書いた方がいいよ。

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