前回は呉市の観光協会に取材協力いただき、アニメ映画「この世界の片隅に」の聖地巡礼を切り口としたこれからの観光資源を探り、今までにない反響を得ることができました。
第二回はポップジャパンのお膝元である広島市を取り上げます。
「この世界の片隅に」の主人公「すずさんが」生まれ育った街・広島市。
現在でも劇中に登場した風景が残り、作品のファンによる聖地巡礼という広島訪問が続いています。
その様子を知った私たちは、広島市を舞台にした数々の名作映画の存在を、改めて思い出しました。
今も熱心なファンの聖地巡礼が続く「この世界の片隅に」。
呉市だけでなく広島市の戦前を再現した暮らしの風景には、前回も触れた片渕須直(かたぶち・すなお)監督のこだわりが貫かれています。
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そして、良くも悪くも戦後の広島へ強烈なイメージを作り上げた名作「仁義なき戦い」。
松方弘樹(まつかた・ひろき)さん、渡瀬恒彦(わたせ・つねひこ)さんと、主役級の俳優さんが相次いで亡くなってしまいましたが、今改めて注目度が高まっています。
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2016年の日本映画ベストテン第1位に「この世界の片隅に」を選んだキネマ旬報社が、2009年に実施した「オールタイム・ベスト映画遺産200」の第5位に、「仁義なき戦い」を選出したほどの名作です。
(ちなみに第1位は広島県尾道市が舞台の「東京物語」でした)
さらにフランス映画「二十四時間の情事」は世界の映画歴史に残る作品と評価され、撮影された1950年代後半、当時の広島市内がまるでドキュメンタリーのようにフィルムへ刻まれています。
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原題はフランス語で「ヒロシマ・モナムール」。主演女優のエマニュエル・リヴァさんも今年の1月に89歳で亡くなりました。
「ヒロシマ」が、三者三様の物語の舞台として残っているという事実は、平和公園やカープだけでは語り尽くせない様々な魅力が、広島には散りばめられている証拠と言えます。
そこで今回は広島フィルム・コミッションを訪問。
こちらでは、広島市に拠点を置き、広島市内で行われるロケーション撮影を誘致・支援されています。
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広島フィルム・コミッションは、ロケ地の撮影交渉はもちろん、エキストラの公募や配置、映画上映のプロモーションまで幅広く携わっておられます。
主査の西﨑智子(にしざき・ともこ)さんに映像と広島観光を結びつける興味深い話をお聞きすることができました。
左:取材を受けてくださった西崎さん。右:のぼりラボ石川
「聖地巡礼企画・すずさんの嫁入り」の出発点・江波(えば)。当時から残る場所や風景を取り入れようとした片渕監督の熱意。
2017年の2月から行われたスタンプラリー企画「すずさんの嫁入り」は広島市江波山気象館がスタートでしたが、この気象台は戦前から残る被曝建物としても知られています。参加者の皆様も、喜ばれたのではないでしょうか?
おっしゃるとおりです。今までにない活気を感じましたし、江波山気象館へのアクセスなど、県外からの問い合わせが多かったことが印象的でした。今回はアニメ映画ですから直接のロケーション撮影はありませんでしたが、聖地巡礼を楽しむ方の傾向として、アニメファンの方が、実写映画ファンに比べて熱心なのかなと感じました。
やはり、どちらかと言うとコアなファンが多いというか、コンテンツとして熱中されやすいのかも知れません。
その点はロケ地マップの好評さからも読み取れますね。観光協会でも「お客さまから『マップはありますか』と訪ねられたらお渡しする」といった配布方法にさせていただいています。「取り置き」で置いてあると、あっという間に無くなってしまうので(笑)。
今回の反響具合には、他の作品とは一味違った独特のモノがあるようですね。
反響の大きさつながりで言えば、これまでは「韓国ドラマ」や「韓国映画」の撮影の現場に、熱心なファンが来られるケースはあったんです。スーツケースを引いて来る方もいましたし、告知をしていないのに何故かロケ地を知っている方もいたりして…ちょっと驚きましたね。
ファン心理とは時として、ものすごい感度のアンテナを作り出すのかもしれません。
でも、皆さんエチケットを守って、撮影の邪魔にならないように見学して下さるんです。時には「撮影の都合で、見学者の方々に急遽エキストラとして参加いただいた」なんてこともありましたね。「この世界の片隅に」の人気にも、同じように作品を尊重する熱さがあるのではないかと、イベントを通じて感じています。
片渕監督のこだわりや姿勢も、かなり熱いと聞きました。実際にご対応されていた中から感じたことも多かったのではないでしょうか?
そうですね。監督とは2011年の4月にお会いして、それからずっとサポートを続けています。公開前の上映会やイベントにも出席いただきましたし、その様子はSNSで広がりましたね。監督って実は、ファンが作品に関するツイートをしたら、リツイートされているんですよ!ご存知でしたか?
えぇ!?それは知りませんでした。凄いですね!ファンには堪らない話です。
やっぱり、皆さん喜ばれますね。「監督からリツイートキター!」って感じで(笑)そうした作り手とファンの交流は、インターネットが普及した現代という時代ならではの現象だと思います。
監督の熱が、ファンを巻き込んだ熱い大きなうねりになっているのでしょう。
映画に関連したイベントでは、県外からリピーターの方がよくいらっしゃいます。「この世界の片隅に」には片渕監督、原作者のこうの先生、そして声優を担当したのんさん、それぞれのファンが一つになっていることも特徴ですね。面白いことに、のんさんには朝ドラ「あまちゃん」からのファンもいて、「この世界の片隅に」をきっかけに、広島と岩手という、結構な距離を越えたファン交流も始まっているほどです。
監督ご自身も広島や呉を何度も訪問され、細かく時代考証を重ね、当時の風景を調べられていたそうですね。
監督がこだわっていたのは、「想像で風景を作らない」ということです。現存している建物や風景、または、写真が残っていて、実際にリアルな再現ができる風景を追いかけていました。特に現存する建物から当時の様子を再現されていて、広島市内の江波(えば)に現存する松下商店や、平和公園にあるレストハウスの前身である「大正屋呉服店」というお店が映画のなかにも登場しています。
原爆投下以前の航空写真。現在の広い「平和公園」には原爆投下直前まで多くの建物が建つ街があった。失われた風景。
とにかく事実にこだわった製作だということで話題になっていましたね。「ここは凄かったな」と感じられたところはありますか?
それは、大正屋呉服店の手すりですね。作中ですずさんがもたれていた窓辺の手すりです。白黒写真で残っていたものに色をつけるのですが、写真からは木製なのか金属製なのか分からなかったようです。そしたら、確かめるために東京から監督が来られました(笑)
えぇ…わざわざ、それだけのために…
当時、「手すりにぶら下がったことがある」と言っている人に会われて、「真鍮(しんちゅう)製の手スリだった」と証言をいただきました。また、戦時中の金属提供で手すりが外されたような跡を見つけたことで、「真鍮でまちがいない」と確信されたそうです。
広島市レストハウス。西崎さんのお話もここで伺いました。
本当に徹底していますね。
実は広島駅も最初は登場する予定でしたが、残念ながら当時の資料がなくて再現が難しく、代わりに当時の様子が分かる福屋百貨店へ変更されたという話もありますね。
物語に登場する風景は忠実に再現されているものなんですね。その徹底した姿勢から生み出されたリアル感は、誰もが賞賛されています。
他にも、江波港のシーンで印象的だった松の木も、製作中はまだ現存していました。ところが…残念なことに今は枯れてしまっているんですよね。物語の中だけの存在になってしまった風景は沢山ありますし、これから増えていくことでしょう。
ファン心理としては、聖地としていつまでも残して欲しいものですが、時代の流れの中では難しいものがありますね。「今は存在しない風景」ということで、意味や深みが出て、色々と感じることも多そうです。
今お話した「聖地」は巡礼のモデルコースとして、ネット上に公開しています。是非、現存する風景を物語と重ねあわせて、時代の流れで失われたものと、残ったものを感じて欲しいですね。
呉市でもお聞きしましたが、私たちも聖地巡礼のサポートとして屋外掲示物が役に立つ可能性を考えています。例えば「私有地なので無許可で立ち入ってはいけないところ」に案内を掲示したり「作中の画像を置いて見比べてみてもらう」といったことです。しかし、「聖地巡礼に目立つ屋外広告は邪魔」という意見も無視できません。ファン心理の難しさを感じます。
そうですね。聖地巡礼は風景そのままを楽しみ、世界観を体験するものですから、できるだけ余計なものは欲しくないという心理ではないでしょうか。ただ呉市もそうですが、拠点となる場所や施設には、のぼりなどの目印が立っています。そういった案内だと観光客やファンには親切だし必要だと思います。
「ここがスタート地点ですよ」と明確にする必要性はありますよね。「情報を得たり、交流できる場所」は、聖地とはまた違った重要性がありますから、そこはしっかりと案内や誘導があった方が親切だし喜ばれると思います。そこに作品をリスペクトした演出が加わっていると「ファンに喜ばれる屋外広告」として意味を持つでしょう。「この世界の片隅に」に関してですが、この熱気はまだまだ続くと思われますか?
息の長いコンテンツになると思います。これからも期待したいですね。
危険と判断され広島のロケ撮影不可。物語当時にない建物が映り込む「仁義なき戦い」の聖地とは。
続いては同じ広島や呉が舞台でも、まるで作風も世界も違う「仁義なき戦い」についてお聞きします。これはバイオレンスな問題作だっただけに、聖地巡礼といったファン心理は想像できないのですが(笑)。
問題作ですけど、名作ですよ(笑)。映画として絶賛されるファンの方はたくさんいらっしゃいますし、根強い人気があります。
撮影当時の1970年代は、まだ広島フィルム・コミッションはありませんよね。聞けば、行政や警察が、撮影を危険だからと許可しなかったそうですね。そこで、大阪や京都がロケ地になっていたというエピソードも聞いています。何しろ、登場人物のモデルになった方の多くは当時実在しているのですからね。「危険」という言葉に深みがあります。
一作目のことですね。しかし、二作目の「広島死闘編」では「原爆ドーム」や広島の川沿いらしき風景が映っています。広島で撮影されたんですね。これは深作欣二(ふかさく・きんじ)監督がどうしても原爆ドームと、当時まだ残っていた原爆被災者の方々が住むバラック建物が集まる地区、通称「原爆スラム」を撮影したいと言われ、決行したそうです。
こちらのエピソードからも監督の熱い思いが伝わってきます。
ところがですね…お話の中の時代ではまだ建っていなかった「広島商工会議所ビル」が、映画の中に映り込んでしまっているんです。これは、ちょっとしたこぼれ話ではあるのですが、2年前にフランスから広島へ来られた「仁義なき戦いファンの方」を案内すると、けっこう喜ばれましたね(笑)。
映り込んではいけなかった商工会議所ビル。
撮影では原爆ドームは川沿いの旅館からカメラを回したと聞きました。またシリーズ中では歓楽街もよく登場しますが、店の看板をよく見ると「大阪」の文字があったりすることもご愛嬌ですね。他にも字幕で「広島市竹屋町」と実際の地名も出ますが、地元の人間からすると、「いや、全然違うじゃないか」と言ってしまいます(笑)。
そんな「ツッコミどころ」を発見するのも、映画の楽しみ方でしょう(笑)。
広島で撮影された「激しい映像」といえば、「西武警察」といった作品ががありますね。現存する聖地として、広島市内の十日市(とおかいち)交差点は有名ですね。線路のポイントを人が切り替える塔屋が今も残っています。
今も残る使われなくなった路線切り替え塔屋。
そうそう、爆破シーンと言えば、広島の都心部、紙屋町(かみやちょう)でも「爆発」を撮影したことはご存知ですか?
えぇ!?紙屋町なんて、街中も街中じゃないですか!?そんなことが可能だったんですか!?
はい。2011年の作品「DOG×POLICE 純白の絆」という映画でのことです。
2011年って、思っていたよりも全然最近ですね。すごい!
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基町(もとまち)クレド・パセーラで本物の火薬を使い爆破させました。もちろん警察と消防の許可を得てのことです。爆発の音にも規制指導を受けました。向かい側に建つ広島市民病院など、関係先との交渉・調整は大変でしたよ。爆発時の煙は「きな粉」や「はったい粉」など、人体や環境に無害なものを使いました。
ここで爆発シーンを…?
よく許可がおりましたね。調整はかなり大変だったことでしょう!ご苦労をお察しするばかりです。
パセーラ前の道路。片道4車線の道路を塞ぐなんて凄すぎる!
近くには大きな病院も!よく許可が下りたなぁ…
昭和30年代の広島が世界から賞賛。「ヒロシマ・モナムール」は貴重なドキュメンタリー映像に。
今までお伺いした2作品はいわゆる「邦画」でした。ところが、広島市内が舞台になっている作品で、海外での評価が高い名作があるそうですね。
それは「ヒロシマ・モナムール」という映画ですね。1959年に公開された作品で当時の邦題は「二十四時間の情事」でした。これは本当に欧米の映画ファンから高く評価される作品です。
邦題のセンスに時代を感じますね。
このタイトルのせいで日本では興行的にヒットしなかったと言われているくらいです。もしかしたら「成人映画」と誤解されたのかも知れませんね。
見たところモノクロの映像ですが、撮影当時の広島が生々しいですね。ドキュメンタリーのようでもあります。
広島駅はもちろん、現在は国際会議場になっている場所にあったホテル、今も外観が残る流川(ながれかわ)のカサブランカビルなどが出てきます。ファンにとっては聖地と言えそうです。
実際に「ヒロシマ・モナムール」の舞台を訪ねたいという海外のファンは多いですね。特に広島市は欧米のドキュメンタリー映画の撮影交渉が多くて、映画関係者ならほとんどがこの「ヒロシマ・モナムール」に関心を寄せられ、案内を頼まれることが多いですね。
当時の広島に暮らす人たちの呼吸まで感じ取れるような「リアル感」がありますね。そういった意味で「この世界の片隅に」の世界観に通じる気がします。戦後すぐの広島市内を映画の画面を通じて知ることができます。
物語は架空のものですが、映画の中にある広島の風景は本物として残ります。貴重なドキュメンタリー映画という側面からも、「ヒロシマ・モナムール」を多くの人に見ていただきたいです。
もしかしたら、見た人の知り合いや本人が登場しているかもしれません。以前の千田町にあった広島大学、本通のシーンには今はない「積善館」の文字も確認できました。一定の世代以上の人には懐しい風景でしょうね。
主演女優のエマニュエル・リヴァさんは、残念ながら今年の1月に89歳で亡くなりました。映画の撮影当時は、ご自身も実に多くの写真をカメラに収められていて、特に子供たちや広島市内に暮らす普通の人々の表情は、見た人に感動を与えてるほど活き活きとしたものだったそうです。ご冥福をお祈りするばかりです。
欧米やアジアの映画関係者へアピール。トレードショーのブース演出でポップジャパンにもビジネス活路。
新名所「おりづるタワー」を望む。外国人観光客も多く見られた。
ここまで、広島を舞台にした映画やドラマなどのロケで広島フィルム・コミッションが行政との調整や、様々な手配や準備をされてることをお聞きできました。その他の活動として、映画や映像作品の誘致も積極的に行っているそうですね。
海外作品を製作誘致するために、欧米やアジアで開催されるトレードショーにも参加しています。これは、参加地域がそれぞれ独立したブースを持ち、そこで紹介や提案活動を行うスタイルです。
ブースを立てられるのですか?当社でも「集客ブース」による賑わいの演出を色々な企業様相手に提案させていただいているのですが、設営や見た目の演出など、やはり苦労されることも多いのではないでしょうか?
そうですね。私たちも試行錯誤を重ねています。実際に資料や実績写真、ブースに必要な材料などは自分たちで持ち運んでいますが、写真を飾るビニールがあって、これがとても重くて苦労します。そうですね…のぼりのような軽い布ならいいかも知れないな…
その点については、お任せ下さい!ブースの装飾など、こと布(ぬの)に関することでしたら、なんでもご相談ください!
分かりました(笑)考えておきます。そういえば…のぼりのお話つながりで、広島県立広島商業高校の戦前に在校していた学生さんが、興味深い論文を残されています。これは「この世界の片隅に」の資料を取材中に片淵監督もご覧になったのですが…
戦前ののぼりについての論文ですか?それは凄いですね。
なんでも、昭和初期の広島市はでのぼり広告が競い合っていて、「普通のものではもう目立たない。新しい差別化が必要だ」という結論だったそうです。既に戦前から、「オリジナルで勝負すべき」という考えが出てきていたということですね。
興味深い話です!日々「既製品にはない、お客様にとってベストな屋外広告を」と考えている私たちの想いにも通じます。今度は、その資料についても調べてみたいと思います。その際には是非、お声掛けさせてください。今日は興味深いお話をいただき、本当にありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
様々な映像作品の象徴的なワンシーンが人々の心に刻まれたとき、そのシーンを撮影された場所が「聖地」として扱われます。
そして、その「聖地」の裏には、ロケーションにこだわる製作者の想いと、その想いを実現するために走り回る人たちが居ることを、改めて知ることができました。
今回、広島フィルム・コミッションを取材させていただいた中で、普段観賞している映画やドラマの風景に関わる人たちの努力や苦労、そして一つの映像を創る難しさに触れました。
そして、そこには気遣いの心や、ロケーションに関わる知識や情報など、様々な要素が関わっています。
周囲の設備から食事する場所、あるいは使用できるトイレの場所といった情報まで。
撮影の許可や近隣への影響を考えながら、ロケ地を誘致し案内する仕事は、想像以上の幅広さで動かなければ実現できません。今回、お話をお聞かせくださった西崎さんも「本当に大変ですよ」と言葉の端々で言われていました。
しかし、その言葉と表情の裏側からは、「広島の風景が映像を通じて世界に広がること」への喜びが見えたように思えます。
以前の取材で「呉市」を訪れたときにも感じた、聖地が聖地として成り立つロケーションの邪魔にならない屋外広告の在り方について、今回は製作者サイドから考えることができました。
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また、映像の持つ「時代の風景を切り取り、後世に残すドキュメンタリー性」についてもお話の中から伺うことができました。
戦前、戦中の資料や証言から忠実に再現された当時の風景。
戦後の有様をリアルに撮影した映像。
そこに映り込む屋外広告から時代性と、そして70年以上も前に、既に発表されていた「屋外広告にはオリジナリティが必要」という主張。
これは、まさに屋外広告に関わる私たちが想い、日々感じていること。屋外広告に関する普遍的なテーマと言えるのかもしれません。
作品から生まれる「聖地」と、その聖地に立つことで作品の世界に入り込んだ感覚を得る「聖地巡礼」というアクティビティ。
そこに存在するファン心理の中で、いかにバランスを保ち、活きる屋外広告をつくりあげるのか、のぼりラボとして引き続き追いかけます。
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今回の取材で取り上げた広島が舞台の映像作品:
アニメ映画「この世界の片隅に」
日本映画「仁義なき戦い」
フランス映画「二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)」
取材協力:
広島フィルム・コミッション
(公財) 広島観光コンベンションビューロー 観光振興部内
〒730-0811 広島市中区中島町1-1(平和記念公園レストハウス内)
TEL (082)247-6916 FAX (082)247-6917
ご協力いただきありがとうございました。
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