ポップジャパンでは、広島市西区の商業施設マリーナホップ内にある「マリホ水族館」のマスコットでもあり、水族館の入り口でお客様をお迎えする「くじら」の衣装を製作しています。
過去には、野球のユニフォームやハロウィン仮装、サンタ姿に振り袖などバラエティに富んだ様々なくじらの衣装を製作してきました。
そして2018年の1月。
5回目となるくじらの衣装を製作するにあたり、のぼり旗メーカーが巨大なオブジェの衣装をどのように作るのか。
その企画から着せ替えたくじらの姿まで、現場に密着しポップジャパンが提唱する「布の可能性」について追いかけました。
今回ののぼりラボはドキュメンタリーです。
くじらの衣装チェンジ企画からデザインが決まるまで
マリホ水族館のくじらの衣装には企画の段階から参加します。
お正月バージョンは「振り袖」で雅(みやび)なお目出度さを演出。
続いて2月バージョンはと考えた時、例えば「バレンタインに因んでチョコレートをイメージしてはどうだろう」なんて意見も出ました。
しかし、くじらとチョコレートを関連付ける衣装として演出することには少し無理があるということで、その案は一旦白紙に。
最終的に、寒さが厳しくなる時期に合わせて「暖かくお客様を迎えよう」「見た目から温かさ」をくじらに演出しようということで、今回は「マフラーとニット帽」に決定しました。
その際のイメージCGがこちら
ここから、いよいよポップジャパンが「布を扱うプロ」として腕を振るいます。
くじらの衣装を制作。求められる創造性。
イメージCGをもとに、展開図を作成。
実際に制作するためのデータとして落とし込んでいきます。
今回のネックはマフラーの長さとニット帽の大きさ。そして、巨大なニット帽をいかにして立体的なものとして制作するかという点でした。
くじらの胴回りからマフラーの長さを決定。同時にマフラーの両端に付いている装飾をいかに表現するかを考えます。
実際のマフラーと同じく編み込む手法は、コスト、工数、仕様的に難しい中、貼り合わせにした生地を細かくヒートカット(溶かし切る)することで、装飾を表現することができました。
続いてニット帽ですが、くじらのオブジェクトは設置の関係で、ちょうど頭の上にバーが通っています。
そのため、厳密にドーム状にすることが出来ず、結果的にドーム型のものをちょうど半分に切った形状になります。
またくじらが実際に帽子を被るのではなく、帽子が頭の上に乗っているのですから、その中身をしっかりと作り込まなければなりません。
風雨に耐える耐久性を考慮し、帽子の内部は発泡スチロールを積み重ねて整形、青の表面にニットの風合いを表現した生地を貼り合わせることで、巨大なニット帽を造り上げました。
さぁ、いよいよくじらに衣装をきせましょう。
布だからこそ実現できるくじらの装飾
くじらの着せ替え作業は、お客さまがいらっしゃる営業時間中には行うことができません。
ですので作業は早朝。日が昇り始めた頃にスタートします。
今まで着ていた衣装(今回は振り袖)を脱がし、マフラーとニット帽を設置。
万が一にもくじらから落下などしないようにしっかりと固定されていきます。
今回のくじら衣装の交換作業は、広島にも強烈な寒波が押し寄せる中で行われましたが、作業はつつがなく完了。
無事にマリホ水族館のくじら2月バージョンが完成しました。
布の可能性を表現する
ポップジャパンは日本最大級ののぼり旗メーカーですが、横断幕や法被(はっぴ)など布に関するものを多く扱っています。
そして、この巨大なオブジェの装飾など「布という素材」だからこそ実現できるものについて、企画、製作を行ってきました。
布(ぬの)の可能性はまだまだ大きなものがあると信じ、ポップジャパンはまだまだチャレンジしつづけます。
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