のぼり旗ってどうやって作ってるの?実際に工場で見てきました。

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こんにちは。ポップジャパンの石川です。
新年度がスタートし、のぼりラボも気分一新!フレッシュな感じでお送りしていきたいと思います。

 

 

 

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最近では僕も「のぼり旗を作っているメーカーの人」として、お話をさせていただく機会が多いのですが、その際に「のぼり旗ってどうやって作ってるの?」とよく話題になります。

 

 

 

これはまさしく「灯台下暗し」。
これまで色々なところに取材やお話を聞かせてもらいに行っていましたが、ポップジャパンの秘密について迫ったことはなく、「のぼり旗をどうやって作っているのか」という身近な話を素通りしていました。

 

そこで今回は、新年度一発目としてポップジャパンを取材。
製造部部長の五反田英司(ごたんだえいじ)さんにお話を聞きながら、工場を案内していただきました。

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いざ工場へ突入

ポップジャパン こちらがポップジャパンの工場1階です。ここでは捺染(なっせん)と呼ばれる手法で印刷が行われています。

 

 

 

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こちら捺染機では、基本的に3人一組のチームで1台の機械を担当しぞれぞれのコンビネーションで動いているとのことです。
 

石川「今日は、お忙しいなかお時間をいただいてありがとうございます。色々とお話を聞かせてもらえたらと思いますが…」

五反田部長「石川くんもウチの会社長いよね。大体のことは分かってるんじゃないの?

石川それはそうなんですが、今回は取材ということを気にしていただけると助かります。さて、こちらは捺染(なっせん)という技術で印刷をされているのですが、そもそも捺染ってどんな手法なんですか?」

五反田部長「捺染とは別名シルクスクリーンとも呼ばれます。印刷される図柄の部分だけインクを通すようになっている特殊な布を張った「版(はん)」を使用し、その上からインクをスキージと呼ばれる巨大なゴムヘラで押し付けながら印刷していきます」

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こちらが版(はん)。畳くらいの大きさから完全に人より大きなものまで。ここでプリントされている柄をインクが透過して印刷される。
 

石川「かなり大きいですね」

五反田部長「のぼり旗一つにしても、通常のサイズで60cm✕180cmくらいあるので、これくらいの大きさになります。この版一つが1色に対応しているので、印刷物の色数分の版が必要になります。」

石川「つまり、たとえばCMYK(※)の4色だったら、それぞれの色に対応した版が必要なので、合計4つの版が用意されるのですね」

※CMYK:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色で印刷する表現方法。大体の印刷物はこの4種の掛け合わせで作成される。

五反田部長「そうです。さらに特色とよばれるものもあり、ポップジャパンの捺染機では最大8色まで対応できます

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こちらがポップジャパンの8色まで対応する捺染機。通称「5号機」と呼ばれている機械。
全長約31mと大きい。
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印刷された生地はここから乾燥機に入って、しっかりインクが乾いて定着した状態で出てくる。
 

石川「できたてののぼり旗は1枚1枚くっついて出てくるんですね」」

五反田部長「この状態のものを縫製の現場でカットしたり、必要に応じて縫ったりしています」

石川「因みに、この機械一台でどのくらいののぼり旗が印刷できるものなんですか?」

五反田部長「そうですねぇ。ものにもよるけど、大体1時間で1000枚くらいかな

石川1000枚!?驚くべき生産性。ポップの捺染機は化物か!

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次は調色(ちょうしょく)と呼ばれる部署にお邪魔しました。こちらでは印刷に使用されるインクを職人が丁寧に作っています。
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石川「あの、調色というのはどういった技術なんでしょうか?」

五反田部長「ここでは捺染の印刷に使われるインクを作っています。お客さまの要望に応じた色を出すために様々なインク配合パターンの中から最適のものを選び出し調合しているのです」

石川「気になったのですが、例えば『この色が正解だ』って判断するのはセンサーか何かですか?」

五反田部長いえ、担当者の目ですね

石川「え?こんな微妙な差が、人の目で判別がつくものなんですか?」

五反田部長「その微妙な違いを見分けるために、最後は繊細な人の目が必要なのです。のぼり旗を目にする時って、常に同じ環境ではないですよね。晴れていたり曇っていたり、夏だったり冬だったり。光のあたり方一つで色の見え方は変化します。その辺まで気を配って正解値の色を作り出すのは、やはり人の目でないと難しいです」

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使われる量が量なので、バケツと撹拌機でガンガン作られるインク。ダイナミックでずっと見てられる光景。
 

石川「考えてみれば、実際にのぼり旗を見るのも人間なんだから、正解が人の感覚にあるというのは、かなり説得力があります。」

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ここには今まで作った様々な色のレシピがファイルされています。その組み合わせは無限なのだとか。無限て…
 

全ての印刷データを扱う制作室

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石川「先ほどとは大きく雰囲気が変わりました。今度はマックがたくさんあってなんだかデザイン事務所みたいですね。ここは何をするところですか?」

五反田部長「ここは制作室と呼ばれていて、データ処理をしています。入稿されたデータを実際に印刷できるデータに変換しています」

石川「印刷できるデータというのは、先ほどの版ごとに色を分けたりということですか」

五反田部長「そうですね。他にも印刷物の大きさによっては、布を縫い合わせなければいけないくらい大きなものもあるので、その分割や『縫い代』を付け足したりしています」

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石川「ポップジャパンの印刷物は全てこの部屋を通って適切なデータに変換されるということで、責任重大なお仕事ですね。僕にはちょっと無理かも知れないな」

五反田部長「石川くんは責任感ないもんね」

石川「全くその通りなので否定はできませんが、直球で言われるとナチュラルに傷つきますね

13台のプリンターが唸りをあげるプリンター室

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石川「プリンター室にやってきました。名前に違わず、ものすごい数の大型プリンターが並んでいます。一体ここで何を印刷しているんですか?」

五反田部長「ここで出力されるものは昇華転写(しょうかてんしゃ)と呼ばれる印刷に使われます。昇華転写については後ほど説明しますね」

石川「あ、見て下さい!これ左右逆ですよ。大変です!早速ミスをみつけてしまいました」

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五反田部長「いえ、これで正解なんです。昇華転写とは簡単に言うとアイロンプリントみたいなもので、特殊なインクで印刷された紙を生地に押し付け、熱と圧力を使い『転写』させて印刷する技術です。なので紙のときは左右が逆転していなければいけません」

石川「それにしても数が多いですね」

五反田部長「全部で13台あります。同じ機種のプリンターでも微妙に設定を調整していますので、前回と同じものを印刷するときは、その時と同じプリンターを使わなければいけませんし、日々の仕事を捌くにはこれだけの台数が必要でした」

石川「なるほど。必要十分な設備を揃えることで、様々なお客さまの要望に素早く対応できる体制が出来ているというワケですね」

1枚からでもしっかりプリントできる転写室

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石川「うわー、この部屋は暑いですね!クーラー入れましょうよ!」

五反田部長「いえ、これで今クーラーがフルパワーですね。フルパワーで可動して、ようやくこの温度です」

石川「マジですか!?五反田部長、この部屋は一体なんですか?」

五反田部長「ここが、先ほどから言っている昇華転写を行う部屋、通称『転写室(てんしゃしつ)』です。全部で7台の転写機が入っています」

石川「それぞれが熱を発しているから、部屋がこんなに暑くなっているのですね。あ、でもこれは!?」

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石川「スポットクーラーじゃないですか!」

五反田部長「転写室の暑さは最優先で解決しなければいけなかったので導入しました。転写は作業の特性上機械の前に人がいなければいけないので、ピンポイントで冷やすスポットクーラーはまさに最適解だったワケです」

石川「あんまり暑すぎると身体に悪いですからね。それでは昇華転写という印刷技術について教えていただけますか?」

五反田部長「昇華転写は、先ほどのプリンター室で印刷された『転写紙』からインクを気化させて、そのガスを生地に染み込ませることで印刷する技術です。生地と特殊インクで印刷された紙、そして下敷き代わりの『下紙』をローラーとフェルトに巻き込み、200℃近い熱を加えることで、生地にインクが写ります」

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石川「200℃!部屋が暑くなるワケですね」

五反田部長「ちなみに、こちらのヒートカッターは400℃くらいになりますよ」

石川「400℃!」

五反田部長「最初に見た捺染は大量印刷に向いていますが、版を作る作業など様々な要因から1枚2枚なんて印刷には不向きです。逆にこの昇華転写は1枚からでも刷ることができますが、印刷時間は捺染よりも遅いという特性があります」

石川「二つの印刷技術がお互いの特性をカバーしているのですね」

お客さまへの想いを込める最終作業

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五反田部長
「最後に縫製室です」

石川「ミシンがたくさん並んでいますね。失礼ですが、のぼり旗って縫うものですか?何か布だけがユラユラしてるだけという印象がありますが」

五反田部長「切りっぱなしののぼり旗も多いですが、乳(ちち)テープとよばれるポールとのぼり旗をつなぐパーツは縫い付けなければいけませんよね」

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乳(ちち)。ちいさな白い布が輪になって縫いつけられていて、ここにポールを通す。因みに乳(ちち)という名称の由来は、犬の乳房が並んでいる様子に似ていたからだとか(諸説あります)
 

石川「あ、そうか!確かにただの布だと旗として成立しませんからね」

五反田部長「他にも、お客さまの要望によっては、端を巻いて縫ったりするなどほつれ難くするためにミシンを使うことがあります」

石川「こうして縫製されてのぼり旗は完成し、お客さまへ向かうのですね」

これからのポップジャパン

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石川「いやー今回、工場を案内していただいて、のぼり旗がどのように作られているかよく知ることができました」

五反田部長「なによりです」

石川「最後に、新年度を迎えこれからポップジャパンが目指す目標などを教えて下さい」

五反田部長「お客様へ今以上、より以上のご満足と感動を贈り続けるためには、まず足元、「社内から変化が必要」との思いから、ポップジャパンは今期“組織風土改革元年”と銘打ち社内活性化を図っていきます」

石川「変化を大きく打ち出すというのは面白いですね!」

五反田部長「製造部としても「PJ-Lab」を立ち上げ、テーマを選定し実研を行い、わが社の製品の品質・モノづくり力の向上を図っていきます。より以上の期待に応えていける会社になるための取組みです」

石川「期待を超えた先のためにモノづくり力の向上を目指すというのは、とても頼もしい思いです。僕もそんな取り組みの成果をドンドン発信していけたらと思います。本日はありがとうございました」

最後に

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今回は、のぼり旗の製造現場をじっくり見ることができて大変勉強になりました。
改めて自社を見直すと新鮮な視点でのぼり旗の製造過程を見る事ができました。
のぼり旗1枚をつくるだけでも様々な工程を経て、色々な人の手が携わっていることを知ると、また少し街中でのぼり旗を見る目が違ってくるかも知れませんね。

ポップジャパンは今期、『変化』というポイントに注力して動き続けるのだとか。
今回は、のぼり旗の製造現場を見せていただきましたが、現在ポップジャパンではのぼり旗以外にも様々な商材を企画し製造しています。

変化の手をゆるめないポップジャパンがどんな楽しい展開を見せてくれるのか注目です。

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